インターネットインフラサービスを提供するさくらインターネット。レンタルサーバーの提供を開始したのは1996年。創業者の田中邦裕が高専在学中に立ち上げました。当時、カスタマーサポートは田中ひとりでしたが、2018年現在は60名規模の大組織。この成長の奥には、業界全体に旋風を巻き起こすような熱い想いがありました。
創業から20年、組織を改変し、カスタマーサポートの新しいステージへ
約43万——。
2018年10月末現在の、さくらインターネットの利用件数です。うち30万はレンタルサーバーを利用する個人、法人のお客様です。サービス内容は、もっとも安い月額129円のモデルから、法人様や官公庁様に多くご利用いただいている大規模な運用に適したサービスまで。1996年の創業から幅広く充実させてきました。
創業初期のカスタマーサポート(以下、CS)は、サーバーの運用担当者が兼任。しかし会員数の増加に比例して問い合わせ数も増えたため、専門のCS部門が誕生しました。サービスの拡充やお客様の多様なニーズにおこたえするため規模を拡大し、現在は60名におよぶ部門に成長しました。
そして、2018年4月、サービスにあわせたチーム体制にCS組織を再編。選ばれるサービスの種類や法人・個人の属性によって、お客様から求められるサポートの質も範疇も大きく変わり、多種多様なサポートが必要になったことが再編のきっかけでした。CSチームを牽引するマネージャーの伊丹康博(以下、伊丹)、大西圭一(以下、大西)は次のように語ります。
伊丹 「つまり、顧客満足度のさらなる向上が狙いです。もちろんサポートの窓口として基本的なつながりやすさ、レスポンスの速さなども重要ですから、それらを含めお客様の層に合わせて質の高いサポートを提供していくためです」
大西 「全オペレーターがすべてのサービスを100%理解してジャッジするのはやはり難しいです。網羅的に学習しようとすると、個人のプレッシャーも大きくなり、なかなかサポートの現場にデビューできません。そこで範囲を絞って注力し、深い知識を得て専門性を高めていくという意味もあります」
そして、さらに強化されたのは、CSの価値向上という熱いテーマだったのです。
非満足を満足に変える、能動的なCSをめざす
「お客様には満足と不満足以外に、“非満足”という状態があると思っています」——。
これは伊丹の言葉。不満はなくても、満足もしていない。それが非満足です。言い換えれば、お客様がサービスに無関心の状態ともいえます。
伊丹 「非満足のお客様は、何かのきっかけで他社サービスに移行したり、サービス自体を使わなくなる可能性もあります。われわれのビジネスは毎月継続利用してもらうことで売上があがるストック型ビジネスです。不満がない=満足と捉えるのではなく、“使い続けたい”と思ってもらう。非満足のお客様を満足に変えていくことが理想のCSです」
たとえば、営業とCSをあらためて比較すると、営業は新しいお客様を開拓し、CSはお客様に長くサービスを使っていただけるように満足してもらうのが目的。実は、両者には大きな差はないとも考えられます。
伊丹 「CSは会社の顔であり、お客様との重要なタッチポイントでもある。だからこそ、お客様の声を真摯に受けとめ改善へつなげる役割以外に、営業部門と同じように利益を生み出す役割を意識しないといけないと思っています」
一方、大西は「これからは能動的なCSが求められる」と考えています。
大西 「個人的には、いわゆるカスタマーサポートがなくなるのが理想です。まず私たちが業務改善をし、こちらからどんどん発信することで、わざわざ問い合わせる必要をなくしてしまう。そこで得られた時間で、積極的にお客様の事業拡大のために、コンサルティングのような支援をしていきたいんです」
その一環として、「できないサービスの背景まで理解すること」も重要視。理由は、背景を知ることで説明する言葉の重みが変わるから。さらに理解が深まれば、お客様が求めている解決策を別の方法で提案できる可能性も生まれます。
大西 「将来的には、他社商材を組み合わせることでお客様にご満足いただけるなら、そんな提案もできるくらいになりたいです。他社領域にまで手を広げ、課題解決することで、“さくらインターネットのCS”の価値を見出せると思います」
これまでの前提を覆す、攻めのCS——。それが伊丹、大西の共通の想いなのです。
さらなる顧客満足を求めて、全国へ波及させよう!開かれたCSの世界
CSチームが取り組んでいる新しい活動があります。業種を超えてカスタマーサポート担当者が集まる「CS Beer Bash Osaka」と呼ぶイベントを開催すること。2017年6月から毎月1回欠かさず、関西でインフラサービスを提供する企業と共同で開催しています。
対象は、同業者だけではなく、あらゆる企業のCS関係者。管理者向けやオペレーター向けなど毎回ターゲットを変えて、30〜40人が集まります。若手の参加者がLTをするなど、お互いの業務の理解や悩みの共有などをしています。「自分にはない体験を聞かせてもらえるのがいい」と好評です。
2017年12月には北海道、2018年7月と8月には、新たに福岡でも同様のイベントを開催。大勢の参加者で賑わいました。
大西 「CSはどの企業においても内々の部門なので、ノウハウを外に出さないのが一般的です。CS職につくとあまり社外に出ることもありません。その常識をさくらインターネットとしても変えていきたいと。同じ課題を持つ企業同士、あえて課題や失敗事例を共有することで、自分たちの課題解決のヒントになるのではないかと考えているのです」
伊丹 「CSの価値向上はわれわれ1社でがんばっていても実現できるものではありません。いろんな企業様に声をかけて業界全体で盛り上げていきたいですね」
これまでクローズドだったCS業界の扉を、さくらインターネットのCSチームが大きく広げようとしているのです。
CSの価値向上が顧客満足の向上へ。そんなムーブメントを起こしていきたい
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震により北海道電力の送電が停止したため、石狩データセンターでは非常用発電機によりサービスの提供を行ないました。心配するお客様に対して、すぐさま会社として「非常用発電機により正常稼働を継続できる」とリリースを発信。
大西 「しかしお客様は、じゃあ非常用発電機の燃料が切れたらどうなるの?と疑問をもつのが当然です。だからCSでは、そうしたお客様へ“何を”“どのように”“どこまで”伝えるのかも想定したうえで、徹底的に準備をしました」
なぜなら「お客様の立場を守ること」を最重要視しているから。たとえば法人の場合、問い合わせをする担当者はCSの返答を聞いて、自社内の関連部門に報告し対応をします。そこでは、担当者も予期していない疑問や課題が生まれる可能性は少なくありません。何度も問い合わせる手間が発生したり、時には即答できないために社内で責められるかもしれません。
大西 「どうすればお客様が社内で困った立場にならないか。立場を守るという視点も持ちながら対応しています。その後問い合わせがなければ、想定どおり進んだということ。やりがいを感じる瞬間でもあります」
聞かれたことだけに答えるだけのCSでは足りないのです。
1980年代、コールセンターといえば本社から遠く離れた地方に立地し、ユーザーにとっては、「わからないことがあれば、とりあえず電話する場所」。悪くいえばクレーム対応の部署という印象も強かったでしょう。
しかしこの数年、CSを「カスタマーサクセス」と解釈したり、カスタマージャーニーを重視するマーケティング手法が脚光を浴びたり、CSに光が当たりはじめました。「この変化の流れに乗ってCS業界を盛り上げていきたい」と伊丹。CSという役割の発想転換の、大きな分岐点だと考えているからです。
伊丹 「企業の土台を構成する要素は、財務力や技術力などいろいろあります。CSの担うサポート力も土台のひとつになりたい。もっといえばサポートがないと会社が成り立たないんだよっていえるくらい重要なポジションに成長したいです。そんな企業が増えてこそ、CSの価値が向上したといえるんじゃないかなと」
カスタマーサポートの成長は、必ず会社全体の成長につながる。そして、それは必ず、お客様の満足にもつながる道であるーー。さくらインターネットCSチームの目指す未来です。
※転載元:PR Table https://www.pr-table.com/sakura-ad/stories/1363
※内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。