エンジニアリングデザインプロジェクトとは
2018年9月~2019年2月にかけて、東京工業大学のエンジニアリングデザインプロジェクトに参画しました。
エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)とは、東京工業大学の授業の一つで、どのように新しい体験・プロダクトをつくるか、そのプロセスを学ぶものです。
東京工業大学の学生、美大・芸大の学生、そして企業からの参加者が1つのチームとなって課題に取り組みます。
詳細についてはぜひ、 プロジェクトの紹介記事「エンジニアリングデザインプロジェクトの目指すもの」をごらんください。
このプロジェクトにさくらインターネットはパートナー企業として参画し、多様なメンバーでどのようにチームとしてユーザ体験・サービスをつくるのかを学ぶため、UXデザイングループのメンバー2名が実際の授業に参加しました。
「多様な働き方における仕事のコミュニケーションをデザインせよ」
参加企業は全9社で、それぞれがこの授業で取り組むの課題・テーマを設定します。
さくらインターネットが設定したテーマは「多様な働き方における仕事のコミュニケーションをデザインせよ」というものです。
企業は課題の設定をしますが、学生たちに作ってもらう “クライアント” としてではなく、そのチームのメンターとして学生たちと一緒になって課題に取り組んでいきます。
デザインプロセスを見て
このプロジェクトでは「デザイン思考」をもととして、「ユーザへの共感」に基づいた「ユーザ体験を作る」ためのデザインプロセスが基本にあります。
テーマの課題点を確認するためにインタビューを行い、インタビューで得たものからスケッチをし、更にインタビューを重ね、プロトタイプをつくってユーザテストを行い、たまにはインタビューまで戻っていったり…
もちろん、全てがキレイに進むわけではなく、インタビューなどのやり方が不十分なこともあれば、チーム内のコミュニケーションがうまくないこともありました。
しかし、それらを繰り返し、行ったり来たりする中で、最初は曖昧模糊として見えていなかったテーマとユーザが抱えている本当の課題が見え、発想が固まっていきます。
最終発表
そして、2019年2月9日 に最終発表会が開催されました。最終発表は一般に公開され、背景を知らない観覧者の方へ、短い時間で自分たちのプロダクトと、そこへ至るプロセスを発表します。
最終的にチームが提案したのは、「笑顔をチャージして表示するデバイス」でした。笑顔を可視化することで、オフィス内のコミュニケーションをもっと気持ちよくできるようにしようというものです。
詳細はぜひ、動画をご覧ください。このチームなりのデザインプロセスの末に辿り着いたプロダクトです。発表後の観覧者からのフィードバックでも、課題とプロダクトコンセプトへの共感が多く集まっていました。
また、全チームの発表内容とレポートも公開されています。より詳細なデザインプロセス、各メンバーの振り返りなどが紹介されています。
全体を通して
パートナー企業としての課題設定、そしてメンターとして参加していることで、ものづくりのプロセスを特等席で観察することができました。
うまく行っている時も、行き詰まっている時も、どちらからも得るものがあります。特に失敗の観察から得られることは、今後この知見を活かして取り組むにあたっての実践的な学びになります。
その中でも特に得られたものは、言葉にしてしまえば当たり前のことではありますが「課題に対して当事者意識をもつこと」です。この授業中では「圧倒的当事者意識」と呼ばれています。
当事者と同じ課題感を自分ごととして捉えられるくらいよく知り、観察し、深く掘り下げる。そして、それができるようにプロセス・チームがデザインされていること、が新しいユーザ体験をつくるために必要なことだと感じました。
おわりに
このEDPという授業自体も、サイクルを繰り返し、毎年アップデートされているそうなので、来年度はさらに良い授業となることと思います。
「デザイン思考」とはどういうことなのか。どのように課題に向き合い、ユーザへ向けてプロダクトを提案し、届けていくのか、そういったことに興味のある方は是非参画を検討してみてください。