パラレルキャリア制度を活用し、
大学や理研でも研究を続ける
研究開発エンジニア
熊谷 将也MASAYA KUMAGAI
2017年入社 / 新卒
2017年、博士課程修了後にさくらインターネットに入社。「さくらインターネット研究所」に所属。同時に、理化学研究所 革新知能統合研究センターの客員研究員に就任。2020年、京都大学の特定助教に就任。
現在の担当業務を教えてください。
2022年の第1回ビジコンで優勝した「電子実験ノートSaaS」の事業化を進めるべく、10名ほどのチームのリーダーをしています。
「電子実験ノートSaaS」とはどのようなものでしょうか?
研究者の世界では、不正が起きないように日々の実験で起きたことをすべて「実験ノート」に記録することになっています。しかし、実験ノートはいまだ紙のノートが使われていて、手書きが億劫で書くのが大変という人が増えてきているのが現状。そこで、今の時代に合わせて実験ノートをWebアプリケーション化したのが「電子実験ノートSaaS」です。日々のアイデア、先生からのフィードバック、ミーティングの資料などを一元管理できます。
熊谷さんはパラレルキャリアとして、理研(理化学研究所)で客員研究員をしていますよね。
はい。さくらインターネットの内定をもらった頃、「パラレルキャリア制度が始まります」という記事が出たんです。ちょうど理研からもお声掛けをいただいていたので、入社前ですが「理研とのパラレルキャリアは可能ですか?」と相談をしたらOKが出ました。
京都大学でも研究をされているのだとか?
はい。「クロスアポイントメント制度」を利用しています。「クロスアポイントメント制度」とは国が進めている制度の一つで、簡単に言うと自由度の高い兼業制度です。基本的にクロスアポイントメント制度は、公的研究機関や大学での実施が多く、今回の民間企業と大学との実施は京都大学にとって初の試みだったそうです。
入社までの経歴を教えてください。
福祉系のロボットに興味があり、高専の電子制御工学科に進みました。当時はロボットエンジニアを目指していて、ロボコン部にも所属していました。ロボコン部は、さくらインターネット社長の田中さんが作られた部活なんです。だけど高専2年生くらいのとき、ロボットを作ることにある程度満足してしまって。地元の友達の影響で大学のオープンキャンパスに参加したところ、「環境・エネルギー工学」の研究室と出会い、今度はエネルギー関係に興味を持ちました。それで、高専卒業後は大学院でエネルギーの研究をしました。
就職先にさくらインターネットを選んだ理由は?
大学院在学中にイベントでさくらインターネットと出会い、人事の方に「インターンに来ない?」と誘われ、1週間くらいインターンに行ったんです。そのとき、すごく温かくて居心地のいい会社だと感じました。また、趣味でWebアプリケーションの開発をしていたので、この会社なら技術者としてのスキルを高められると思いました。
入社して、「さくらインターネット研究所」に配属されたんですね。
はい。物理的に研究所があるわけではなく、東京支社のエンジニアオフィスの一部分に研究所がありました。他部署と兼任している方が多くて、当時、研究所専属は私を含めて5名くらい。みんなで一つの研究をするわけではなく、個々で研究していました。
熊谷さんは何の研究をしていたんですか?
もともと大学院では、材料工学と情報工学を足し合わせた「マテリアルズ・インフォマティクス」という分野の研究をしていました。材料工学分野のビッグデータを利用して、新しい金属や半導体を探し出すような研究です。入社後も、研究所の所長からは「やりたいことやって。面白いことだったらなんでもいいよ」と言われていたのですが、せっかくならもっと直接的に会社のためになる研究をしたいと思い、「インターネット通信の異常検知機械学習」の研究を始めました。
研究はスムーズに進んだのでしょうか?
実はかなり悩みました。私は異常検知の研究をするにはインターネットの知識が足りず、「このままではあまりインパクトのあることはできないかもしれない」と不安でした。研究は続けていましたが、このままでいいのか、結果を出せるのか、入社から2~3年はずっと悩んでいましたね。
その悩みが解消されたきっかけは?
「電子実験ノートSaaSの開発」というアイデアに出会ったことです。電子実験ノートなら自分の経験も活かせるし、さくらインターネットのサービスとしてリリースすることができれば、さくらインターネットの利益にも還元できる。思いついて1年くらいは自分で研究を進め、その後ビジコンに挑んだところ、優勝することができました。
働く中でやりがいを感じることは?
「電子実験ノートSaaS」の実現に向けた思考や行動のすべてに、日々やりがいを感じています。また、私の熱量に共感して集まってくださったチームメンバーと議論しながら開発できていることにも、喜びを感じますね。
仕事をする上で大変なことは?
さくらインターネットでは慣れないチームマネジメントを行っている一方で、私の場合は京都大学や理研での研究活動もある。それぞれまったく違う活動なので、頭の切り替えがとても大変です。
さくらインターネットの魅力は?
さくらインターネットには、インフラからフロントエンジニア、デザイナーなど、幅広い分野のスペシャリストがいます。web上で何かを実現したいとき、さまざまなプロフェッショナルが手助けしてくれるのは夢のような環境だと思います。
今後の目標は?
引き続き、「電子実験ノートSaaS」のリリースに向けて尽力していきたいです。ビジコンで優勝して事業化した事例を作れば、社内的にも社外的にも、かなりのインパクトを残せるはず。他の人たちが目指したくなる事例を作ることが、今の自分のミッションだと思います。